ヒプステtrack5がとてもよかった話

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以前は「観に行ったライブぜんぶ書く」というスタンスでやってきたこのブログも、時が経ち観に行くジャンルが代わり、そもそも全部書き残していたのはお笑いライブだけで音楽やその他のジャンルはそうでもなかったという経緯もあり、さぼりがちなここ数年である。
無理しすぎるのも健康と寿命によくないのは明白なので(ブログを書いているとついつい夜更かしして睡眠時間が6時間を切る)、ある程度力は抜きつつも、今年も書けるものは書いていきたい。

ヒプステはブログに書かなかったtrack4もtrack2の再演もオリジナルキャラクターだけが出演したスペシャルライブも真夏のお祭り『Battle of Pride』もすべて現地やら配信やらで余さず観た。そこには最高にわくわくするパワフルなステージしかなくて、2019年11月のtrack1からもう二年以上が経つけれど、長い間力を注いで応援し続けられる愛すべき作品に出会えたことが嬉しい。今後も末永く追いかけていきたいと思う。

というわけで、track5。ヒプノシスマイクの主要ディビジョンの4リーダーが過去に結成していたチーム”TDD(The Dirty Dawg)”の結成前後のストーリーだ。
月末に現地観劇予定があるのだが、待ちきれず大阪公演の配信を観た……とても、とてもよかった。

事前の懸念事項、というか「いったいどうなるんだろう?」と心配になるポイントはいくつかあった。
ひとつめは「TDDの過去の話」とストーリーが決まっているところ。脚本の亀田さんはいつでも最高の描き方をしてくださるけれど、それでも完全オリジナル脚本だったtrack1~3に比べて既存のストーリーをなぞる形となった4が脚本としてのパンチ力に欠けた感は否めない。ヒプノシスマイク、ところどころ設定に関して大ガバなところが見受けられるので、そこがどう料理されるのかが心配になるポイントだった。
そしてふたつめはキャスト変更。夏まで最高の乱数を演じてくださっていた世古口凌さんが卒業して初めての公演だったので、違和感やがっかりを感じずに観られるのかな…というのも当然気にかかっていた。
そして最後に、オリジナルキャラクターのD4(ディーフォー)。ヒプステ、とにかく原作に出てこないステージオリジナルのキャラクターたちが強いのだ。「既存のキャラクターイメージ」という制約がないため、ラップに歌、ダンスに芝居と、個々のキャストが持てる力をフルに見せつけてくれるところがとにかく最高。そんな彼らにわたしはまたハマり、落ちて、人生めちゃくちゃにされてしまうのか…?というのも、個人的に心底そわそわさせられた。

そして結果は。
……配信で観たにも関わらず、めちゃくちゃ満足度の高いステージだった。

4人の主要キャラはそれぞれの”過去”の姿を若々しく、いきいきと生きて、語り部役の衢(よつつじ)くん(原作で登場済みだがストーリーはそれほど描かれていない)も天真爛漫なキャラクター力を存分に発揮し、オリジナルD4の4人もそれぞれの関係、そして主要キャラたちとの絡み方、すべてが最高だった。面白かった。
そして特筆したいのがディビジョン・ダンス・バトルこと”D.D.B”の9人。
DDBというのはヒプステに欠かすことのできないキャストたち。他の舞台作品であればバックダンサーとして扱われそうでもあるところ、その卓越したパフォーマンスと(世界レベルの技を惜しみなく披露してくれる贅沢)、ストーリー上の各場面で果たす役割とによって(ときには演技もお手の物でこなす)、ヒプステといえばDDBであるしDDBがいなければヒプステではない。個人の意見です。
今回のDDB、やっているパフォーマンスレベルとしてはtrack1~4と変わらなかったかもしれない。5でそこんところがめちゃくちゃあがったとかいうわけではない(元々が超人的すぎるため)。なのに、今回いつも以上に「DDB……!」となってしまったのは、ヒプステを二年見続けたわたしの目が肥えたということもあるし、皆さんの名前、顔や技を覚えて解像度が上がったということもある。でも、それだけではなくて、トータルパッケージとしてのヒプステの一体感がとても高まった、ということじゃないか、という気がとてもする。

思い返せばtrack1の発表時、ヒプステに向けられた非難の声は界隈にいなかったわたしですら、そのとげだらけの声に血が吹き出すくらい壮絶なものだった(もちろんわたしが「オリジナルキャストのファン」という属性にあったからもろに食らった、というのはある)。
それが今や、わたしが二年かけてヒプステへの声援が聞こえやすい環境に身を置いてきた、という事実はあるけれど、原作ファンもtrack5でキャラクターの過去がどう描かれるのかを心待ちにし、オリジナルキャラクターが出ると聞けば彼らのアビリティや関係性がどんなものなのか想像をたくましくし、DDBの衣装バリエーションが増えたとあれば拍手喝采が起きるまでになった。
そんな風に空気が確実に変わっているから、track5では「原作キャラ・オリジナルキャラ・DDBすべてが混然一体となって作り上げられた一つの世界」が完成したし、それが皆さんがヒプステを通して作りたかったものにまた一歩近づけた結果なのだといいな、と思う。

そしてやっぱり言及しておきたいこと。今回も楽曲、照明、演出のすべて、そして衣装が素晴らしかったです。
音楽の面では、各人、各チームのテーマ曲が最強だったのはもちろん、track2のアサクサ登場シーンを彷彿とさせるようなサウンドが使われていたり(めちゃくちゃ興奮した)、みんな大好き『一斉検挙(track4)』のテーマが盛り込まれていたりと、これまでのステを観てきたからこそ楽しめるポイントがたくさんあった。作品全体のテーマ曲でも本家の印象的なリリックがきっちり盛り込まれていてそれもまた沸いた!作る人全員のヒプノシス愛がパズルピースのように散らばっているから、自分では気づけないポイントにほかの方の感想を聞いてハッとして、また見返すのが面白くなったり。何度食べてもおいしいステージである。

そして衣装については、今回もナカサチさんのお仕事にリスペクトしかなかった。もともと服に感度が高い方ではないのでヒプステを見ていても「自然だな、すごいな」ということくらいしかわからなかったのだけど、詳しい方の感想を聞いたり、他のステージでも衣装に着目して見てみたり、そしてなによりナカサチさん自身の言葉で”こだわり”を伝えていただいたことで、trackを重ねるごとにそのすごさと「衣装が作り出すキャラ造形の深み」というものがわかるようになってきた気がする。

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↑このインタビュー記事、とても面白かったし、衣装だけでなくナカサチさん自身に興味がわいてしまった。感謝そしてリスペクトです。

↑track1~3の感想はこちら。

track5は明日現地に行ってきます。TDCの2バルなので、全体像を楽しんでくるつもり。

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